宇宙堂 オフィス3○○ について ◆

  20年間主宰した 80年代の小劇場運動を先導し、演劇界に多大な痕跡を残した劇団3〇〇を解散後、

渡辺えり が新たに旗揚げした演劇集団です。

 2001年当初はユニットとしてのスタートでしたが、
毎年行ったオーディションの状況などから、
 2003年から
劇団 として新たに生まれ変わりました。
 新人たちを育てながら、音楽や肉体表現をも駆使し、

 既成の演劇にとらわれない舞台の創造を模索します。
 且つ、現代社会の問題に鋭くメスを入れ、じわじわと世に効く漢方薬のように
 人々の心に訴えていく演劇を目指して渡辺の作品を上演していきます。

 
 虚構と現実、空間と時間を縦横無尽に行き来する、渡辺の幻想的な作風は、

宇宙堂という新たな集団のパワーによってますます力強いものとなってきています。
 

2001年5月、 旗揚げ公演『星の村』 は、

もたいまさこ、大沢健、山崎清介、観世葉子らが出演し、

一人の女性の再生を描きながら、まさに宇宙全体がテーマになった

スケールの大きな作品でした。待望の渡辺の新作ということもあり、

連日当日券を求める長蛇の列を呼びました。

続く 第二回公演『詩のしの詩(詩のしのうた)』 は、

寺島しのぶ、片桐はいり、篠井英介、深沢敦を迎え、

姉妹の憎愛を軸に日本の農業問題に切り込み、

日本人の生き方を問うた意欲作でした。

初の地方公演も試み、より多くの観客を魅了しました。

更に 第三回公演『りぼん』 では、全曲オリジナルの生演奏での音楽劇に挑戦し、

木野花、田根楽子、観世葉子、北村岳子、高谷あゆみら異色の客演陣と共に、

土屋良太をはじめとした劇団員が肉体の限界に挑戦し、横浜と青山で、好評を博しました。

そして、第四回公演『アオイバラ』 は、

初めて劇団員がメインキャストを演じた公演でしたが、

戦後の日本の戦争責任を問うたシリアスな内容だったにもかかわらず、

「彼ら(若手劇団員)のストレートな情熱に応えるように、

渡辺の命を見つめる視点はぶれることなく、

密度の濃い作品に仕上げた。」(読売新聞劇評より)と高い評価をいただき、

追加公演も行うほどの大盛況のうちに幕を閉じました。

そして昨年の2005年、五周年を迎えた宇宙堂では二本の作品を上演しました。

 一本目は『花粉の夜に眠る戀〜オールドリフレイン〜』で、

日本の稀有な女流作家尾崎翠の人生と演劇を作り続ける者の孤独な魂とを描いた作品で、

渡辺えりが劇団3○○時代に上演し絶賛された作品の再演で、

宇梶剛士、山崎清介らをゲストに迎え、二十年の時を超えて新たに作り上げた劇世界は

普遍の夢を描き出すことに成功しました。


二本目は、新作の 『風回廊』 で、

地球に人という生物が誕生する以前から吹きすさぶ風に託した

平和への祈りとでもいう様な広大なテーマを描いた作品で、

渡辺の永年の夢だった、世界で活躍するミュージシャンcoba、

舞踏集団「大駱駝鑑」、川原亜矢子らのゲストを迎え、

アコーディオン、三味線、フラメンコギター、バンドネオンの生演奏と

タップと舞踏が入り乱れるという前代未聞の作品に仕上がりました。

2006年は、渡辺えりが宇宙堂の劇団員たちとまっすぐに向き合い、

新たな夢を作る挑戦の年となりました。

若手の才能を掘り起こし、そのすべてが発揮される新作を劇団員と共に作り上げました。


 8月は、1924年に開校した、伝統のある洋裁学校「白萩服飾専門学校」内にあり、

若手の小劇場界が多くの名作を生み出した、新宿「白萩ホール」で『夢ノかたち〜私の船〜』、

10月は池袋「シアターグリーン」にて『夢ノかたち〜緑の指〜』と、小劇場に帰って実験的な公演に挑みました。

「シアターグリーン」は渡辺えりが20代の時のホームグラウンド的な劇場でしたが、

2005年リニューアルし、多くの劇団の公演が上演されています。

劇場に乞われ、あえてこの劇場に再び帰るのは演劇の原点に立ち返り、

今の劇団の若手の夢と、渡辺えりの夢とを新たに再確認するという意味が込められています。

渡辺えりが演劇の夢を追いかけて上京して初めて降り立ったのが池袋でした。

過去を振り返ることで、未来を見つめていこうという試みを行い、好評を博しました。

 

2007年は、再演を熱望する声に応え、劇団「オフィス3〇〇」として『りぼん』を初進出の吉祥寺シアターで上演しました。

3年の活動休止を経て、

2011年8月、常にアンケートにて再演希望No.1だった

「ゲゲゲのげ〜逢魔が時に揺れるブランコ〜」を26年振りに再演し、

好評を博しました。

 

 

 

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